過活動膀胱
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過活動膀胱は、「急に我慢できないような尿意が起こる」、「トイレが近い」、
「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気です。
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疫学
40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが最近の調査で示されています。
本邦における実際の患者さんの数は、800万人以上ということになります。
この中の約半分の方に切迫性尿失禁が見られます。
ところが、そのほとんどの方は”年のせい”、”恥ずかしい”等の理由で医療機関に相談していません。 |
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原因
過活動膀胱には、神経が原因となる場合とそれ以外の原因の場合があります。
細かい検査をしても、原因がよくわからない場合もあります。
1)
神経因性過活動膀胱 |
神経に病気が起こった場合になります。 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、
脊髄損傷や脊椎管狭窄症などの脊髄障害などによって、
脳から抹消神経までのどこかの部位に障害が起こると、
神経の命令がうまく伝わらなくなります。
その結果、膀胱に尿が少ししか溜まっていないのに
尿意が起こり、過活動膀胱の症状が出ます。 |
2)
非神経因性過活動膀胱
(神経トラブルとは関係ない原因) |
それ以外の何らかの原因で
膀胱の神経が過敏になっている場合や、
原因が特定できない場合もあります。
原因がはっきりしない場合も多く、
それは過活動膀胱自体がいろいろな影響が
合わさって起こることも多いためだと思われます。 |
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診断
排尿に関係した症状が出現して、日常生活に支障がある場合は
まず医療機関を受診するようにしましょう。
特に、専門に診断加療を行っているのは泌尿器科です。
何か痛いことや恥ずかしいことをされるとためらっておられる方も多いです。
しかし当院でもそうですが、実際にはあまりそういうことはないと思います。
一般的に初診時に行われるのは、問診です。
非常に簡便な質問票があります。
慣れていれば問診だけでかなりの状態を把握することができます。
問診以外には、残尿検査など、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。
おなかの上から計測できますのですぐに終わります。 |
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治療
過活動膀胱の治療は、薬物療法による治療が一般的です。
しかし、薬物療法は症状を軽減させるための対症療法です。
長期に渡り内服する必要があります。
過活動膀胱の治療には、主に抗コリン薬と呼ばれるものが使われます。
抗コリン薬 |
膀胱を収縮させる信号は、“アセチルコリン”という物質が
神経の末端から出ることによって、膀胱に伝えられます。
このアセチルコリンのはたらきを弱めることで、
膀胱の異常な収縮を抑えるのが抗コリン薬です。
飲み始めてからしばらくして効果が現れてきます。 |
行動療法 |
膀胱訓練や骨盤底筋体操などで、
機能の弱まった膀胱や骨盤底筋を鍛えることによって、
ある程度症状を抑えることに役立ちます。 |
電気刺激治療 |
主には電気や磁気で刺激を与えて、
腹圧性尿失禁に対しての骨盤底筋の収縮力強化目的で用いられますが、
膀胱や尿道の神経のはたらきを調整する作用もあるので
過活動膀胱に対しても用いられることがあります。 |
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